最新のトラックバック
フェスの持ち物履歴など
◆荒吐09持物
◆荒吐07持物 ◆荒吐06持物、写真 ◆エゾ05持物、写真 ◆荒吐05持物、写真 ◆エゾ04持物、写真 ◆エゾ03持物、写真 ◆テントの張りかた ◆プロフィール ◆掲示板 ◆fujiiymk@yahoo.co.jp フェスリンク ◆SEE YOU NEXT YEAR 各フェスの紹介、タイムテーブルなど。持ち物リストなど役立ち情報がとても便利。 ◆RISING SUN 09 in EZO ◆ARABAKI ROCK FEST.09 カテゴリ
全体 荒吐14の思い出 荒吐09の思い出 荒吐07の思い出 荒吐06の思い出 荒吐06現地から エゾ05の思い出 エゾ05現地から エゾ04の思い出 エゾ04レビュー エゾ04現地から エゾ準備 荒吐05レビュー 荒吐05の思い出 荒吐05現地から 荒吐準備 ディスクレビュー ライブレビュー その他音楽話 音楽番組 震災・ボランティア 雑記 フォロー中のブログ
その他のジャンル
|
2006年 06月 27日
東京都美術館で、「プラド美術館展」を見てきました。入館したのはちょうどお昼時だったんですが人の入りは多くて、ひとつひとつの絵を上から下までしっかり見るのはなかなか大変でした。以下に印象に残った絵の感想。
2.エル・グレコ「十字架を抱くキリスト」 熱に浮かされたような色彩と、やや縦長な人物。いかにもグレコらしい作品。 8.リベーラ「聖アンデレ」 顔の皺や老人らしい体つきが、伝説の聖人に個人としての実存を与えている。光と影のコントラストが鮮烈。この作品、会場のライトも画中の光の部分に当たるように調整されていた。 9.リベーラ「盲目の彫刻家」 8と同様、彫刻家の個人としての個性が感じられる。彫像をなでる手の動きや話し声まで想像できそう。 12.スルバラン「神の愛の寓意」 好みの美人さんですこの人。単純に。 18.ベラスケス「フェリペ4世」 内面の性格までもとらえた素晴らしい肖像画。でも、よーく見ると、首から下は明らかに手を抜いてるように見える。線も陰影もアバウト。このころ工房制があったかどうか忘れたけど、もしもそうなら多分弟子の手によるものなんではないかと。 22.リシ「聖ベネディクトゥスの夕食」 不思議な印象の絵。部屋の壁、床、テーブル、椅子がすべてほとんど同じ茶色に塗られているため、テーブルを挟んで向かい合う聖ベネディクトゥスと修道士は、まるで宙に浮いているように見える。実際、画面中央上に窓が配置されているからかろうじて室内だと分かるものの、窓を指で隠して見ると、室内の絵とは用意に判別できなくなる。 向かい合う2人の視線はぶつかり合わず、対話よりはディスコミュニケーションを想像させる。2人の足は床にしっかり立っているというよりは、やはり宙に浮いているかのような形に見える。 これらの特徴のため、後のシュルレアリスムのような奇妙な雰囲気がある。そうゆう意図で描かれた絵ではないんだろうけど。 29.アントリーネス「マグダラのマリアの被昇天」 むき出しの乳房を両手で隠しているのは、もと娼婦だったという伝承によるもの? 32.ムリーリョ「エル・エスコリアルの無原罪の御宿り」 今回の展覧会の最大のお目当てがこれ。学生時代から好きな絵で、多分、この世で一番好きな作品。思っていたよりずっと大きい絵だった。 会場で最初見た時に、「昔見た図版と少し違うような…」と思ったけど、どうやらほんとにそうらしくて、私が画集でずっと見てたのは、多分同じムリーリョの「ベネラブレスの無原罪の御宿り」だったのではないかと。同じ主題だからかなり似た絵だけれど、マリアのポーズが違う。 それでも、ムリリョ独特の柔らかく繊細な画面をじっと見上げていると、じわじわと胸が熱くなってくる。遠くから近くから、右から左から、そして2階からと、場所を変えながら飽かずにずっと見た。 純白の服をまとったマリアは鮮やかな青い衣を左肩から足元に下げ、右背後にも同じ衣をたなびかせている。背景の暗い雲が、マリアの周囲だけ明るく輝いている。マリアの足元には月と天使たちが配置されている。 画面全体の明暗の配置を大まかに追うと、外側から順に<黒雲→光る雲→青い衣→白い衣>となり、<暗→明→暗→明>を繰り返す。画面の中でマリアが浮き上がって見えるのはこのためか。 「ベネラブレスの~」に比べ天使の数は少なく、マリアの足元に数人いるのみ。頭の周りの雲に目を凝らすと、さらに6人程度の天使の顔が見えるが、雲のようにも見え、パッと見ただけでは分からない。このため画面がよく整理されている印象があり、鑑賞者の視線は自然にマリアに向かう。 51.ルーベンス「ヒッポダイメア(デイダメイア)の略奪」 182cm×290cmの大作。人物たちの鬼気迫る表情と、流れるような動きが印象的。画面手前に描かれる主要な人物たちは、まるで書道の筆遣いのようにひとつながりの動きの中にいる。 52.ルーベンス「フォルトゥーナ(運命)」 普通の裸婦像として堪能しました。体つき、顔ともにちょっと若い女性。 68.メレンデス「ボデコン:プラム、イチジク、パン、小樽、水差しなど」 水差しの陶器の質感が尋常じゃなく、まるでそこにあるかのように見える。パンも柔らかそうで、質感の描き分けが完璧にできてる。後のスーパーリアリズムを想起させる。 69.メレンデス「ボデコン:風景の中の西瓜と林檎」 これもうまい。スイカの切り口の感じが絶妙。…なんだけど、なぜそれをあんな雄大な風景の中に置く? 西洋絵画のやや病的なほどの風景に対する執着にちょっと笑う。 76.ゴヤ「トビアスと大天使ラファエル」 闇の中で白い放射状の後光を放ち、柔らかい翼を広げるラファエルと、片膝でそれを仰ぐトビアス。個人用の礼拝画として描かれたものだそうで、なるほど鑑賞者を惹き付けるラファエルの高貴さがよく出ている。 77.ゴヤ「カルロス4世」 個人的にはゴヤといえは晩年の黒いゴヤのイメージが強いが、肖像画もうまい。 78.ゴヤ「魔女の飛翔」 今回黒ゴヤ作品としては唯一の出品だけど、インパクト充分。思っていたよりずっと小さな作品。 晩年のゴヤはこの絵にどんな感情を塗り込めようとしたんだろうか。答えが出ない答えを探そうとして、絵の前から動けなくなってしまった。 画面上部には、仰向けの男を抱え宙に浮く3人の魔女。魔女は半裸で、男も画面上で見える限りでは衣服をまとっていない。魔女たちは男の体に口を付け、何か(血?)を吸っているように見える。男の手足は暴れるように突き出されており、悲鳴を上げているようにも見える。 その下では、白い布を被り、地面を向いたままの男が歩いている。画面左に倒れ付した男は、耳を塞いでいるようにも、絶望に頭を抱えているようにも見える。画面右には、闇の中にロバが見える。背景はスペイン絵画によく見られる濃い黒。 画面中に人間は6人描かれているが、ひとりも満足に顔を描かれていないのが不気味さのひとつの原因だろう。魔女たちも飛ぶ男も目は描かれず、落ち窪んだ眼窩には影が描かれているだけ。地上の2人は顔すら見えない。ロバの顔もほとんど闇に同化して、ほとんど亡霊のようだ。 魔女たちは上昇しているのか、下降しているのか。それとも右か左かに飛び去ろうとしているのか。男をどうしようというのか。地上を歩く男はどこに向かうのか。次々に浮かぶ問いの答えは、多分一生かかって画面をにらみ見続けても分からないのかもしれない。底なし井戸のような深さのある作品。
by fujiiymk
| 2006-06-27 23:20
| 雑記
|
ファン申請 |
||